近畿大学原子炉の経年化対策と安全性について


 超低出力教育訓練用原子炉である近畿大学原子炉は、昨年1111日に初臨界50周年を迎えることができました。運転開始以来、事故やトラブルも無く、順調に運転を続けてきました。この50年間に、12,000名以上の学生や中高教員の方々が運転実習を含む原子炉実習を履修し、全国大学共同研究利用として多くの国公私立大学研究者によって広く利用され、大きな成果を上げてきました。臨界50周年にあたって、地域の皆様の長きに亘る御支援と御理解に深く感謝致します。

 さて、「IAEA,老朽化した多くの研究炉が深刻な懸念を提起」(毎日新聞、3月8日付)とする新聞報道がなされ、皆様にご心配をお掛けしていることと思います。本学原子力研究所として、高経年化に対する対策と安全性について説明させて頂きます。

 まず、規制官庁である文部科学省は、平成20年2月に、本学原子炉を「耐震バックチェックを要しない原子炉施設」と確認しています。これは、本学原子炉の安全機能(停止・冷却・閉じ込め機能)が全て喪失したとしても、周辺公衆に過度の放射線被ばくを及ぼすおそれがないことを確認したものです。続いて、文部科学省は、平成2112月に、近畿大学が実施した高経年化対策を評価し、妥当なものと判断しています。近畿大学は、更に、地域の皆様の信頼と安心を得るべく、設備の保守と改修を継続的に実施しています。

 また、本学原子炉に対して、IAEAや規制官庁等から、高経年化に関する「深刻な懸念」や「特別な指導・調査」が寄せられたことも有りません。老朽化による「構造やシステムの故障」や「事故」も全くありません。加えて、本学原子炉は超低出力1ワット(約0.24カロリー毎秒)であるため、高経年化が危惧される圧力容器・格納容器や冷却設備も有りません。

これからも本学原子力研究所はこれらの事実に満足し油断することなく、安心の更なる向上のための努力を継続して参ります。

今後とも、皆様のご理解とご指導を賜れば幸いです。

                                以 上

  平成24年3月13

 
近畿大学原子力研究所      
所長 伊藤哲夫      




 
東日本大震災における原子力災害について


 
このたびの東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故は、日本のみならず世界の多くの人たちに不安を抱かせています。

近畿大学原子力研究所は、昭和36年以来世界で最も低出力(最大熱出力1ワット)の原子炉を所有し、研究・教育に現在も利用しています。

このたびの大震災を受け、もし関西にこのような大震災があった場合を想定して、再評価いたしました。  その結果、以下の理由から、住民の皆様に不安を与える事がないものと判断いたしています。  ご不安、ご質問等がございましたらいつでもご来所ください。  
 
近畿大学原子力研究所      
所長 伊藤哲夫      




近畿大学原子炉の安全性について 

 
1.冷やす必要がない原子炉です。

    近畿大学原子炉は、最大熱出力わずか1ワットの(世界で最も出力が低い)超低出力原子炉です。熱出力1ワットとは、豆電球と同程度の発熱量で、毎秒0.24カロリーの熱しか放出しないことを意味します。このため、近畿大学原子炉は運転中であっても冷やす必要がなく、停電時においても原子炉の温度と圧力はそれぞれ室温、大気圧に保たれます。したがって、大地震などにより電源が皆無となった場合でも、冷やす手段を確保する必要がありません。

2.極めて微量の放射能しか内蔵しない原子炉です。

    近畿大学原子炉が内蔵する放射能は、電気出力100万キロワットの原子力発電所(熱出力300万キロワット)の約30億分の1以下です。 したがって、近畿大学原子炉は、発電所のような圧力容器も格納容器も必要としません。 なお、原子炉本体の耐震性については、国の定める基準を満たしています。 また、津波については、施設が海抜約6mに位置し、海より20キロ近く離れており、さらに近くに大きな河川がない事より心配ないものと判断しています。 
 
  近畿大学原子力研究所